読書録

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 「認められたい」の正体

「認められたい」の正体 ― 承認不安の時代 (講談社現代新書)

「認められたい」の正体 ― 承認不安の時代 (講談社現代新書)

リースマンやフロイトマズローなど著名な心理学、社会学の大家の引用があり、かつて学んだことを懐かしく思い出しつつ、現代における哲学の難しさを感じる。価値観の多様化で自由な選択ができるようになった一方、いかに認められることでい生きがいを感じることができるのか、という根本的な難しさがある。

著者は「一般的他者の視点」という概念を提示して、そこから考えていけば解決策につながるという考えのようではあるが、そこに辿り着く論理といのが、わかるようでなかなか理解が困難な面もあり、よく考えていきたい。


(目次ー引用)
第1章 「認められたい」の暴走
・家族の「空虚な承認ゲーム」;
・「認められたい」若者たち;
・自由と承認の葛藤;
p34:いま、コミュニケーション能力が重要になり、「空虚な承認ゲーム」が蔓延しているのは、社会共通の価値観を基盤とした「社会の承認」が不確実なものとなり、コミュニケーションを介した「身近な人間の承認」の重要性が増しているからなのだ。


第2章 なぜ認められたいのか?
アイヒマン実験ミルグラムによる権威服従の心理←電気ショック指示を6割が従う
服従の心理と承認欲望;
・心理学の欲望論;
p49:アドラーの言葉には、他者の承認なしに「人生の意味」を感じることはできない、という考え方が貫かれている。
・自己承認への道
p78:「人は常に生きる意味を探し求めている」と終生主張し続けたフランクル・・「生きる意味」は「自分は生きるに値する」という事故の存在価値に対する確信と直結しており、この確信は他者の承認と無関係ではありえない。


第3章 家族の承認を超えて
・発生論的観点からの考察;
・承認欲望の起源;
・失われた共通の価値観;


第4章 現代は「認められたい」時代か?
・「認められたい」欲望の普遍性;
・自由か、それとも承認か;
p134:しかし現在では、近代化の進展にともない、こうした社会共通の価値観への信頼は失墜し、価値観が多様化した時代に突入している。その結果、人々の自由はこれまでになく拡大したが、どのような行動が人々の承認を得るかは不透明になってしまった。・・それは再び、自由への抑制につながってしまうのだ。


第5章 承認不安からの脱出
・「認められたい」不安からの出口;
・自己決定による納得;
・自己了解から「一般的他者の視点」へ」;
p200:多様な他者を想定し、その自己像は多くの人が共通了解してくれるのか、その自己ルールに基づいて行動しても他者は承認してくれるのか、それをよく考えてみるのである。このことによって私たちは、自らが納得して行動しているという自由の意識を確保し、より多くの人間から承認を得る可能性を拡げることができるだろう。
・承認不安を超えて
p215:誰もが「認められたい」という欲望を抱く以上、そこには大勢の人間が共通して了解し得る意味(本質)があるはずだ。本書における出発点は、まさにこの点にあった。・・自己了解と「一般的他者の視点」による内省ができるなら、私たちは身近な他者の承認のみに執着せず、「見知らぬ他者」の承認を確信することで、また自分の意志で行為を選択することで、自由と承認、両方の可能性を切り開くことができる。


{6/12-14読了、記入も同日}