読書録

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 フリー

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

無料経済を誕生させたのは、デジタル社会のテクノロジーの進歩であり、情報処理能力コストが2年ごとに半分になるムーアの法則{コンピューターの能力が2倍になればコストは半分にーミードの法則}や、通信帯域幅と記憶容量のコストもそれ以上のペースで下がっている中で、インターネットのコストが相乗効果で低下し、オンラインの世界でのビジネスコストはゼロに向かっているからという。


古い無料モデルも紹介しながら、以下の分類を提示(p31〜)
1.直接的内部相互補助-消費者の気を引いて他のものを買ってみようと思わせる商品(2つめはタダ、携帯2年契約など)
2.三者間市場-コンテンツ、サービス、ソフトウェアなど(メディアの基本)
3.フリーミアム-有料のプレミアム版に対する基本版
4.非貨幣市場-対価を期待せずに人々があげるものすげて


巻末の小林弘人氏の解説で、著者の考え方を整理しており、『「低い限界費用で複製、伝達できる情報は無料になりたがり、限界費用の高い情報は効果になりたがる(p130)」多くのアイデア商材の価格は引力の法則ならぬ、ふりーの万有引力に引っ張られ、それについてはていこうするよりも、むしろ活かす方法を模索せよ、ということだ。そして、潤沢になってしまった商品の価値はほかへと移ってしまうので、新たな稀少をさがしてそちらを換金化するべきだとも説いている』という。
それに対するメディア業界からの反論ももちろんあり、解説者もいう「稀少性を発見したり生み出すことが想像性のはっきしどころで、単にフリーを駆使しても早晩立ち行かなくなる」という論に同意したいところ。


p142〜で、マイクロソフトリナックス対策で、キューブラー・ロスの「悲劇の五段階」{否認→怒り→取引→抑鬱→受容}で説明しているのは、引用された「死の瞬間」(1969)に学ぶことが多かっただけに、こんな形でも引用されるのかと納得した。


(目次-引用)
1.フリーの誕生;
<無料とは何か?>
2.「フリー」入門―非常に誤解されている言葉の早わかり講座;
3.フリーの歴史―ゼロ、ランチ、資本主義の敵;
4.フリーの心理学―気分はいいけど、よすぎないか?);
<デジタル世界のフリー>
5.安すぎて気にならない―ウェブの教訓=毎年価格が半分になるものは、かならず無料になる;
6.「情報はフリーになりたがる」―デジタル時代を定義づけた言葉の歴史;
7.フリーと競争する―その方法を学ぶのにマイクロソフトは数十年かかったのに、ヤフーは数カ月ですんだ;
8.非収益化―グーグルと二一世紀型経済モデルの誕生;
9.新しいメディアのビジネスモデル―無料メディア自体は新しくない。そのモデルがオンライン上のあらゆるものへと拡大していることが新しいのだ;
10.無料経済はどのくらいの規模なのか?―小さいものではない);
<無料経済とフリーの世界>
11.ゼロの経済学―一世紀前に一蹴された理論がデジタル経済の法則になったわけ;
12.非貨幣経済―金銭が支配しない場所では、何が支配するのか;
13.(ときには)ムダもいい―潤沢さの持つ可能性をとことんまで追究するためには、コントロールしないことだ;
14.フリー・ワールド―中国とブラジルは、フリーの最先端を進んでいる。そこから何が学べるだろうか?;
15.潤沢さを想像する―SFや宗教から、、<ポスト稀少>社会を考える;
16.「お金を払わなければ価値のあるものは手に入らない」―その他、フリーに対する疑念あれこれ
←価値の判断が金銭しかないところが間違い+無料とみなせるくらい安くなった限界費用あり

p322:[無料のルール]
1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
3.フリーは止まらない
4.フリーからもお金儲けはできる
5.市場を再評価する
6.ゼロにする
7.遅かれ早かれフリーと競い合うことになる
8.ムダを受け入れよう
9.フリーは別のものの価値を高める
10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう

{4/25-28ほぼ読了、記入は5/5}