読書録

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国鉄改革の真実

国鉄改革の真実―「宮廷革命」と「啓蒙運動」

国鉄改革の真実―「宮廷革命」と「啓蒙運動」

財政破たんになりそうな国=政府についても、ここに描かれたような大胆な改革が必要ではないのか。いかに国鉄からJRに変わっていたのか?その背後に動いていた人や政治家が登場し、関係者が語る歴史として、極めて興味深い内容だ。政治と経営の違いを紹介するくだりがあるが、JALが破たんしてしまったのも、そこを乗り越えられず、組合対策に失敗したからではないかと感じさせられた。


(引用)
p7:国鉄改革の目的は国民生活に必須の国鉄輸送を、崩壊状態から再生させ、永続的に維持・発展させることだった。
p9:職員局は東西冷戦体制を反映した政治的労働運動の呪縛から個々の社員を解き放ち、自律的に自分自身と家族の幸せを考えさせるための「啓蒙運動」を展開したのであった。それは国鉄本社という「宮廷」の中で完結する幹部人事や資産分割と異なり、国鉄総裁の指揮のもとに国鉄の全組織を総動員し、一人一人の現場職員まで巻き込んだ「全社的」運動だった。

p127:国鉄改革の天王山1986年の夏の陣←国労の混乱と崩壊=第二次労使共同宣言の締結とスト権スト損賠訴訟裁判の取り下げ

p140:成功の秘密は、常に主導すること、集中すること、速攻すること、一貫継続すること、徹底することにあった。

p168:経営者たるものは、経営権の三要素、すなわち人事権、価格決定権、設備投資決定権の自律性を、職を賭する覚悟で守らなければならない。

p206:(政治は対話でコンセンサスを形成し複雑で多様な課題に対処 vs 経営は近代的なツールを駆使して戦略的決断を行い利益など単純明快な目標を追及、妥協 vs 徹底、平等 vs 集中)「政治の手法」により「経営の成果」を求める「公共企業体」という理念は、「木に縁りて魚を求む」に等しい。国鉄改革の失敗は、何をやるべきかがわからなかったのではなく、わかっていながら政治的な妥協を余儀なくされ、不十分で、不徹底で、時期遅れにしか実施できなかったからだということを当事者はみな知っていた。

{3/9-12読了、記入は20}