読書録

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 フラット革命

フラット革命

フラット革命

この本では、著者の毎日新聞記者時代のネットを取り上げた記事をめぐるエピソードから始まる。さくらちゃん募金騒動を取り上げた部分では、パソコン通信時代の経験にも触れるなど、今やITやメディア関連の第一人者として活躍する著者の横顔を知ることができた。ほぼ同じ世代だけに、パソコン通信のフォーラムにもいくつか顔をだしていたが、募金への反対論者として登場する「がんだるふ」氏については、知らなかった。むしろ、この本のタイトルである、「ふらっとさん」という方がいて、オフ会でもお会いし、懐かしく思い出したりもした。インターネットを本格的に始めるのは遅くなり、後半で取り上げられる「ことのは事件」については、知らなかった。改めて俯瞰してネットの動向を知ることができた。


また、本著は2007年に出版されたものの、ネットをめぐる問題の本質的なところの論点は正鵠を得ていて、今でも十分通用するように思う。玉石混交の情報の中からいかに有益な情報を見つけことがいかに難しいか、また、人のつながりとしてのソーシャルネットワーキングがますます重要になるだろうということ。

著者には、ますますのご活躍を期待したい。


(目次-引用)
第1章 フラット化するマスメディア
列車事故を撮影した市民への批判;1999年7月
・連載『ネット君臨』;2007年正月
・第一の危機 匿名言論の出現;
・第二の危機 取材の可視化;
・第三の危機 ブログ論壇の出現;


第2章 よるべなく漂流する人たち
・瑞穂さんの物語;
・転落する人生;
・戦後社会を終わらせた五つの要因;1.グローバリゼーション、2.人口構成の変化、3.雇用の市場化、4.格差社会化、5.日本社会の精神性の変容

・隷従するゲマインシャフト


第3章 組み替えられる人間関係
三島由紀夫鏡子の家』;
・インターネットのクオリア
・人間関係の相対性理論

第4章 公共性をだれが保証するのか
加藤紘一の絶望;
西和彦の嘆き;
・ことのは事件;
・ラディカルデモクラシー

{3/1-3読了、3/7記入}