- 作者: 矢幡洋
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/06
- メディア: 新書
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「トラウマ理論をぶっとばせ」として、疾病モデルではかえって心の病気は治らず、むしろ生活習慣病のように、いかにつきあっていくかを考えようというのは、説得力があるように思う。
著者自身の体験から、学問的なことというより、実践的に、良い精神科医やカウセセラーの見分け方を紹介しているのも好感が持てる。力には雲泥の差があり、『ユーザー情報』=実際の治療を受けた人の情報や、看護婦さんから聞くことなどを提案している。
心理療法については、フロイドやロジャーズの理論を紹介しながら、どのような方法があるのか、教えてくれる。そして終わりの方には、具体的なハウツーとして、『セルフヘルプ・ブック』形式を提示する。p188〜
ワーク
1.少しでも役に立ちそうなもののリストを作成して下さい。
2.問題(症状)がないときは、どのように過ごしていますか?
3.良くなる時は、何からまず良くなりはじめましたか?
4.問題や症状をそれ以上悪化させないようにどうやって食い止めているのですか?
5.あなたは、どうやってそんな厳しい状況にここまで耐えてきたのですか?
6.あなたは何故この本をここまで読んだのですか?
p199:「生き続けていれば、いつかこんないいこともあるかもしれない」とあなたが思っておられる夢を聞かせていただけませんか?・・あなたが大切にしているものはなんですか?
あとがき
p203:(娘が大きくなったら)まじめくさった顔をして「人生というものは、楽しいことばかりではないけれども、じたばたしているうちにいつの間にか何とかなっているものだよ」と教えるつもりです。
神戸の酒鬼薔薇事件や春菜ちゃん殺害事件、佐賀バスジャック事件などで心理学的な考察を行った著者が心理療法をテーマに書いたという本著を読むと、少し優しい気持ちになれた気がした。
{9/11記入}