読書録

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おじいちゃんのノート 下町の職人魂がオンリーワンを生んだ


 SNSの影響力が大きいことを示す事例として記憶しておきたい話が、この「水平開きノート」のヒットにまつわるエピソードだ。

 斜陽産業の印刷業界で、73歳で著者の社長と80歳の製本職人・中村博愛(ひろちか)さんが2014年に完成させながらなかなか売れず、8000冊の在庫と赤字を抱えた今年2016年の正月のこと。博愛さんの孫娘の「…宣伝費用がないから宣伝できないみたい。Twitterの力を借りる!…」p110というツイッター発信が半日で2万リツイートを超えた。ネットで話題になり、注文が殺到してテレビでも取り上げられ、「ジャポニカ学習帳」 という大手のショウワノートとコラボも決定した。

 本著を読むと、2011年に二人で生み出した「紙フィルム」p58で業績を改善できたことで、オリジナル製品を開発する重要性を認識したとのこと。2013年には都電ノートを発売するも、産業展ブースでほとんど売れない。ただ、その時に訪れた男性の一言「ノートは真ん中がふくらんでおさえないといけないから書きにくい」という言葉から、今回の開発が始まったと紹介しているp73。マーケティングなどの手法より、こうした現場の一言への気づき、というのがとても大切なんだと改めて思う。

 そして2年がかりで水平開きノートを開発するものの、立ちはだかる卸問屋や金融機関の壁は、テレビドラマの『半沢直樹』や『下町ロケット』などで描かれていた中小企業が厳しい状況に置かれる構図を思い出す。「帰れ」p101という社長の言葉と怒りは、目に浮かぶ。

 あとがきで、中村社長は「(二人のおじいちゃんが、世間をアッと言わせることができたのは)やはりわたしたちがひとつの道を信じてコツコツと努力を積み重ねてきたからなのです。(中略)一人でも多くの子に、自分の信じる道を見つけて歩んでいってほしいと願いますp126」と呼びかけているが、こうした信じること、努力することが、歳をいくつ重ねても素敵なことなのだと思う。


発行したセブン&アイ出版のサイト⇒ http://www.7andi-pub.co.jp/mook/2016/20160810_01.html

著者の中村印刷所のサイト⇒ http://nakaprin.jp/ (2011年3月にHP開設の挨拶あり)


 本著は、子ども向きも想定してか、簡単な漢字にもルビがふってあり、また、とても読みやすい内容となっている。これまであまり気づかなかったが、セブン&アイでこういう書籍の出版をしていることを今回知った。書店ではあまり目立つところに置いてあった印象がないが、ベストセラーになってもおかしくない内容だと感じた。

 なお、ネットで話題になっている、と気づいたきっかけは何だったかよく思い出せないのだが、フジテレビの番組『Mr.サンデー3月13日』で紹介されたのが最初だったか?印象に残っている。著者のサイトでは、番組で放映されたドラマのユーチューブ動画アドレスを紹介している⇒ https://www.youtube.com/watch?v=fQoiRrVGdJ0 (視聴回数は1240回)

 ネットで話題に、という意味では、ピコ太郎の『PPAP』の世界的ヒットが2016年の大きな話題に。(FBアカウントは31万イイネ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=fQoiRrVGdJ0ジャスティンビーバーが紹介したことがキッカケ、とも言われているが、何がどう人を惹きつけて広がるのか?何もしなければ可能性はないが、試行錯誤が続く。さて、ピコ太郎がオリラジとともに今年の紅白に出場するか?が、けさ11/19のスポーツ紙で扱われている、と朝のTV番組で紹介していた。はてさて、どうなるか?


{2016/11/4-8読了、記入は19}