社会は笑う・増補版: ボケとツッコミの人間関係 (青弓社ライブラリー)
- 作者: 太田省一
- 出版社/メーカー: 青弓社
- 発売日: 2013/07/19
- メディア: 単行本
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『欽ドン』や1980年のマンザイブームなど、懐かしい番組や芸人が次々と登場し、振り返るには楽しい。しかし、副題にある「ボケとツッコミの人間関係」など、論理展開と分析については、ついていくのがなかなか難しいと感じる部分があった。
事実としては、タモリ、ビートたけし、明石家さんまの3人が俗に「ビッグ3」と称され、お笑いタレントの地位向上とともに、「観客」と「視聴者」が、「笑い」を構成する担い手になってきた(p15)中で、日本社会の延命の作法に深く関わる(p16)ということか。
あとがきにある、明石家さんまの座右の銘「生きているだけで丸儲け」+「夢と現実を入れ換えろ」という哲学者への共感=「楽しくないものをどうすれば楽しいか、ということまで考えていくと楽しい」⇒いまを楽しむことができていることの絶対的なお得感の表現、というところが、一番わかりやすく、また、なるほどと共感できた。
(目次ー引用)
序章 「観客」と「視聴者」;
◇マンザイブームは新たな笑いの空間の成立、内輪ウケによる笑う社会化、笑いが笑いにならざるものに転化…
第1章 マンザイ的「笑い」の誕生―マンザイブームをめぐって;
1 吉本とフジテレビ→『THE MANZAI』1980-1982
2 ボケとツッコミの遊離→『おれたちひょうきん族』1982-
3 笑い声の主張―「素人」の時代→『笑っていいとも!』1982-
第2章 「仲間」空間と「笑い」;
1 伸縮する内輪ウケ空間
2 記号化する個体―キャラクターと「笑い」
3 観察者の“興奮”
第3章 「笑い」が「感動」に変わるとき;
1 ドキュメンタリーと「笑い」
2 予定調和としての「感動」
3 「本気(ルビ:マジ)」の記号論
第4章 現代日本社会と「笑い」;
1 超疑似化の作法
2 延命する疑似空間
終章 「笑う社会」の行方;
補論 その後の十年―「芸人」たちの2000年代;
◇2000年代に「笑い」の主役は「素人」から芸人に再び戻ったようにみえるP207(80年代から90年代にかけては、ボケとツッコミを基本構図としながら、素人によるなんでもアリの笑いに到達)なんでもアリを土壌に、より精確に再現。
{8/19-24読了、24記入}