読書録

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 こんな募金箱に寄付してはいけない

こんな募金箱に寄付してはいけない (青春新書インテリジェンス198)

こんな募金箱に寄付してはいけない (青春新書インテリジェンス198)

今回の大震災でボランティアが現地にかけつける一方、募金や寄付をめぐって詐欺まがいの行為も行われていることが報じられている。ネットでも、物資がないという被災者のテレビ発言を聞いて届けにいった保守系団体が、実際にはものがあったことからこの被災者を叱ったことや、物資が避難所に届かないのはある団体の仕業だなど、ボランティアをめぐる話題がかけめぐり、何が事実で嘘なのか、よくみていないとわからない。台湾から100億円超える募金が集まったということは素晴らしいことだと思う一方、国内では日赤に集まった募金の配分遅れをめぐり議論されるのは、少し悲しく感じる。

タイトルの奇抜さにひかれて手に取ったが、本著では、ボランティア活動とは何か、について真面目な議論を紹介していて参考になる。

要は、情報を集めて信頼のできる団体に寄付し、無理のないできる範囲で人や社会に役立つことに貢献することが、生きがいにもつながるということか。大震災でも、できる範囲で貢献していきたい。


(目次-引用)
第1章 こんな募金箱にお金を入れてはいけない!?
◆ボランティアの基本ー募金や寄付にまつわるウソと真実;
・2005年のホワイトバンドが募金ではなかったと議論を呼ぶが、背景には、「困っている人を助けたい」気持ちと、「無理のない範囲でしたい」、使途にはあまりこだわらない「釣り銭型」で、かつ「お付き合い」という日本的な特徴がある。また、人件費などにもあてられることへの理解は少ない。
p59:団体の情報を集め、寄付したお金の行方に対しての説明責任を求めること。そして、それを求めすぎないこと。


第2章 援助物資、途上国へ送っていいもの・ダメなもの
◆災害復興、難民支援…あなたの“誠意”はどう使われているか;
・物資が現地でだぶつくときもあり、NGOなどを介した情報収集や緊急支援活動が必要だが資金が不足しがちであり、2000年に官民の枠を超えたジャパン・プラットフォームという緊急援助システムが設立された。
p104:物の支援も途上国の現状に思いを寄せ、団体の活動を深く知ることが必要です。・・仮に協力するとしたら、送りっぱなしにせずに、出口にまで関心を持って、知ろうとすること。そのあたりに注意をして協力していくといい。


第3章 優先席には“あなた”が座ろう?
◆お年寄りや障害者、妊婦…に特別な場所は必要か;
p124:ボランティアの基本は「できる人が、できるときに、できることから」です。


第4章 “地球のためにできること”の落とし穴
◆割り箸にエコバッグ、再生紙…身近なエコ問題の痛しかゆし;
・2007年のアニヤ・ハインドマーチによるセレブなエコバック騒動を入り口に、生協のマイバック運動からレジの有料化の流れを説明するが、すでに有料化した台湾では、レジ袋の代わりに紙袋が増え、結局ごみとして出るのがポリ袋か紙かの違いでごみ減量にはならなくなっている。
p163:環境に負荷をかけずに、経済的にも無理のない仕組みを作るにはどうすればいいのか、問題は複雑です。


第5章 障害者は“頑張っている人”なのか
◆福祉ボランティアで求められていること、誤解されていること;
p171:環境問題を考える基本精神は、 Think Globally,Act Locally(地球規模で考え、あしもとから行動する)だといわれます。「・・ささやかでもいいから、できることから行動していこう」


第6章 どこからどこまでが“ボランティア”か
◆「私にできること」の限界と可能性;
p198:ボランティアの基本精神4つ
「自分から進んで行動する自主性・主体性」
「共に支えあい、学び合う社会性・連帯性」
「見返りを求めない無償性・無給性」
「よりよい社会を作っていく創造性・開拓性・先駆性」
p216:参加する側も、人間関係が希薄になっていく中で、人と人とのつながりを作ることで、自己の存在意義を再発見する手段として、ボランティアをしたいという流れもあります。いわゆる自分探しです。

{3/31-4/1読了、4/2記入}