読書録

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僕はパパを殺すことに決めた

僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実

僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実

供述調書漏洩事件として、精神科医が逮捕され、出版元と著者との間にもトラブルがあったと記憶していたが、どんなことだったかとwikiをみてみたものの、『講談社は「コピー禁止」「直接引用禁止」「原稿の事前確認」の合意に反した「出版倫理上の瑕疵がある」と指摘する一方、著者は、この3点の約束は無かったと主張して、講談社のHPに自身の見解を掲載させたり、調書漏洩事件の公判(奈良地裁)では、一転して調書の入手先が起訴された医師であることや、許可なく調書を写真撮影した事実を認めた』という内容が書かれていて、さっぱりわからない状況になっていた。

著者の手法には問題があるとはいうものの、本著に書かれている内容自体は、普通なら見ることができない一級資料で、同じ世代の子を持つ親としては、ぐいぐいと引っ張りこまれていった。図書館に予約を入れて、1年たってようやく借りて読むことができた。

p58:テストの点数が平均点を20点下回った。少年が父親殺害を決意した契機は、突き詰めればその一点に尽きる。・・今回の事件の真相を読み解く上で、触れなければならないのが、少年が父親から受け続けた虐待に近い暴力、そして少年が置かれてきた特殊な生育環境だ。

p165:ただ1科目、英語1だけが平均点を大きく下回った。少年は父親の暴力を恐れる余り「平均より7点上やった」とウソをついた。本当に、ただそれだけだった。それだけのことで少年は自宅に火を放ち、結果的に家族三人の命を奪った。

p222:(父を殺害して家出をする)それを実行する場面では、広汎性発達障害という少年の生来の特質による影響が強く現れ、放火という殺害手段を選択したり、殺害する相手がいないという現実に合わせて計画を変更できなかったり、継母らの生命の危険に十分注意が及ばなかったり、放火が犯罪であるということに全く注意を向けなかったり、その後場当たり的に占有離脱物横領などの行為を重ねたりしてしまったのである。

この父親に子どもへの愛がなかったとは決して言えないだろう。いかなる父親になれるのか。模索していくしかない。

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