- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/02/13
- メディア: 文庫
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40歳になったのは数年前だが、この本に描かれている状況や心理は、よくわかるような気がする。
まだまだ今から始めることができる、甘くはないかもしれないけど。希望を感じさせてくれる。
奇しくも、解説を書いた吉田伸子さんが一番好きなフレーズと書いた部分は、僕も気に入って付箋を入れた部分でp162のところ。
会社でいろいろつまらないことがあったり、思うようにいかなくても、「ごくあたりまえでかんたんなこと」に幸せを感じたい。
ちょうどこの本を読んでいる頃に、同期会があり久しぶりに会う仲間たちに会うことができた。
いつまでも元気に会えること、酒を飲めること、そしてこうした本との出会いに喜びを感じることができた。
(扉)
人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分が。会社を辞めて、投げやりにプロデュース業を始めた喜一・40歳の元を訪れる、四十代の依頼人たち。
凋落したIT企業社長、やりての銀行マン、引きこもり…。
生きることの困難とその先にある希望を見つめて、著者が初めて同世代を描いた感動長編。
(目次-引用)
・真夜中のセーラー服:AV女優が没落したIT長者を助ける
p12:「人むすび・人あつめ・40歳から始めよう〜なんでもプロデュースいたします」とサイトのスローガン
・もどれないふたり:銀行マン同期の競争と夫婦・恋
・翼ふたたび:ひきこもり青年(部屋を出るに至るシーンは、なかなか感動的)
・ふたつの恋が終わるとき:不倫をやめたい女性
p162:まだ青春のさなかにある人間はいうかもしれない。夢も希望もない人生なんて生きる意味がない。だが、それが違うのである。ほんとうは自分のものではないが夢や希望によって傷つけられている人間がいかに多いことか。本心では望んでいないものが得られない、そんなバカげた理由で不幸になっている者も、この世界には無数にいるのだ。
余計な荷物を全部捨ててしまっても、人生には残るものがある。それは気持よく晴れた空や、吹き寄せる風や、大切な人のひと言といった、ごくあたりまえのかんたんなことばかりだ。そうした「かんたん」を頼りに生きていけば、幸せは誰にでも手の届くところにあるはずだ。喜一は単純なので、そんなふうに液晶ディスブレイに入力しているだけで、ぐっときてしまったりするのだった。
・われら、地球防衛軍:フリーターの幼稚園児送り迎え
・はい、それまでよ:ガンとわかって愛の告白(告白しあうシーンも、心打たれる)
・日比谷オールスターズ:サイトの実話を軸にイベントをプロデュース、40歳から始めよう
p376:ガンとなった卓巳のステージの言葉「その人は、おれに見苦しく生きろといった。じたばたして、カッコ悪くてもいい。そのうえ生きてきた証におれの子供を産んでやるなんていう。わけがわからないけど、おれはその人のおかげで、ガンと闘う気になった。だから、今日はここにいるみんなのまえで、その人に告白しようと思う。佐和ちゃん、きてくれ」
{地区センターで借り8/19読了、記入は26}