- 作者: 毛利敏彦
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/07/01
- メディア: 新書
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台湾の歴史というのをよく知らなかったため、手に取る。
この本では、通説では○○だが、諸資料から○○といえる、という箇所がいくつか出てくるが、これが結構多いと、逆に本当のところはどうなんだろうかと、疑問に思ってしまうところがあった。
たとえば台湾出兵の動機について、大久保が、意に反して反政府エネルギーを外に逸らせるためにとった切羽詰まった選択で、台湾領有意欲は希薄だったのを「通説」とするが、著者は、台湾先住民地域を獲得しようと強引に推進した暴挙と見ている。
また、台湾出兵の収拾をめぐって、琉球に対する立場が清より日本側に有利になり、その後の対立の火種も残したことなどを読んで知ったが、この歴史の部分については学校で習うわけではなく、近現代史は入学試験には出ないなどという風説からか、頭のなかからすっぽり抜け落ちていた。学ぶことは多い。
(扉)
明治7年5月、陸軍中将西郷従道指揮する日本軍3600が台湾に上陸、先住民居住地を武力掃討した。この近代日本最初の海外派兵は、台湾に漂着した船の乗員が殺害された事件に対する懲罰と航海の保全にあると説明されたが、台湾を統治する清国との間には一挙に緊張が高まった。それにしても、なぜ事件後2年半もたって派兵が強行されたのか。なぜ清国は、この対応について過大に反発したのか。その歴史の根源的な謎に迫る。
(目次ー引用)
第1章 台湾問題の形成;
第2章 朝鮮問題との交錯;
第3章 台湾遠征
{図書館から借り5/20読了、記入は26}