読書録

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『ルポ労働と戦争』 島本慈子 著

「ここはふるさと旅するラジオ」から流れてきた三沢基地を観光資源として活用しようとする内容に、著者は、基地はレジャーランドではないと嫌悪感と違和感を示す(p9〜)が、この感覚に、以前ならストレートに共感していたかもしれないが、今はなんとも、複雑な思いを感じるのは、なぜだろう。

かつての戦争への反省から、9条が大切なことは理解はするが、この本のような断面の切り方で、どれだけ多くの人が共感を覚えるのだろうか?15年前に掃海やPKO活動に派遣される自衛隊を巡って世論が厳しく対立していた時代から、大きく変わってきたような気がする。大切なのは「平和」であって、それが「軍」的な要素、すべてを否定することになるのかどうか、悩ましいと感じてしまう。今、「非武装中立論」的なことを説いても、なかなかついていけないような気もしてしまった。


(扉より)
テクノロジーが戦争を支える時代とは、「民需と軍需の境界」が曖昧になる時代である。現在、日本国内の労働はどのように戦争と関わっているか。それは九条改憲によってどう変わるのか。在日米軍基地、自衛隊、兵器産業、公務員、大学、農業…さまざまな「仕事」の現場から「戦争」を問うノンフィクション。日本の進路を考えるために。

(目次-引用)
第1章 在日米軍基地という職場(鹿屋―進駐軍上陸地の碑;沖縄―求人広告の向こうに ・・);
p28:「一人ひとりの仕事が細分化されていますから」という言葉はきわめて重要である。・・労働と戦争というテーマを考えるとき、これが最重要のポイントかもしれない。

第2章 「軍」と「民」のバリアフリー(ハイテクに支えられる兵器;派遣社員という迷路 ・・);
p58:「軍」と「民」のバリアが溶けだした新しい状況に、いま私たちは直面している。

第3章 ものづくり立国の戦争(潜水艦と神戸港クルーズ;防衛秘密というカーテン ・・);

第4章 Switch(転換)=九条が消える日(航空―民間機の軍事利用;命を守るためなら ・・);
p105:(日航乗員組合委員長の)山口さんは「職場にものを言えないという空気がある状態では、安全は守れない」と警告する。


第5章 明日へのジグソーパズル(台風、戦争、そして雇用;三重に積みあげられた約束 ・・)

{図書館で1/18借り27読了、記入は2/2}