読書録

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『バカなおとなにならない脳』 養老孟司 著


バカなおとなにならない脳 (よりみちパン!セ)

バカなおとなにならない脳 (よりみちパン!セ)

子供向けに書かれた理論社のこのシリーズは、なかなか面白いかと思って、息子のために借りたのだが、どうも読んだ形跡がなく、せっかく借りたので、自分で読んでみた。養老先生の考え方が、わかりやすくよく出ていて、結構楽しい。講演も聞いて感じたのは、何でもすぐできるような便利になった世の中に問題があり、脳を使うということは、体を動かして入力と出力を繰り返すことがとても大事、自然との触れ合いも、子供を育てるのに手抜きはだめで稲作りのように手をかけていくことが大切、「努力、辛抱、根性(p174)」などということか。

p21:「学習」っていうのはね、・入力と出力を繰り返し繰り返し回していくことで、脳がひとりでに「変わらない」ということだけを残していくということなんです。それがものをおおぼえる、学習する、身につくってことなんです。・・・「文武両道」「知行合一」が、脳の入出力と学習の関係。
p52:正義や秩序だけで世の中考えるの、やめたほうがいいね。・・タバコ吸わなきゃ健康になるとかいうのも、やめてほしいね・・

p130:(辛抱できなくなったのは)ああすればこうなるという生活環境と関係あるでしょうね。ボタンを押せばひとりでに風呂が沸くとか、そういうことばっかりの生活をすれば、そこでは我慢をする必要なんてなくなります。
p144:ぼくの場合、なんでこんな学問、続けているかっていえば、ひとこと、自分の頭の整理をしたいということだけですよ。世界を理解しようとなんて思っていません。自分を理解しようとしているだけです。

p156:機械を便利にしたら、人間は怠け者になる。我慢ができなくなる。それだけのことでしょう。
p163:せいぜい、からだ全体を使って遊ぶ、とか、働く、とか、からだを含めた「自然」と、ある程度付き合うようにもすることでしょうね。キミが、まともに育ちたいのならね。
p168:(いじめの原因)いちばん問題なのは、われわれの世界がひたすら人間関係中心になって、逃げ場が消えちゃったということでしょうね。
p210:人間がなんでもできるんだと思ったら、大まちがいなんです。おとなが自然を根こそぎにしてきた結果、こういう発想がでてきてしまうんですよ。

また、この本のシリーズでは、谷川俊太郎が4つの質問を出して著者に答えてもらっているが、養老先生の答えはユニーク。
1.何が一番大切か に 「虫の標本」、 2.誰が一番好き? に ここで聞かないで 3.何が一番いやか に 「なにか人から強制されるのはいやだね。・・あ、一番嫌いなのは、「正義」だな。4.「死んだらどこへ行きますか」に、そんなこと知らないが、オレモ知りたい、などと書いている。

{図書館で11/2借り14読了、記入は15}