読書録

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『新聞社』 河内孝 著

新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書)

新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書)

副題にあるとおり、新聞産業の部数至上主義を破綻したビジネスモデルと指摘して、その生き残りが図れるのかどうかを探る本。
確かに、拡販競争の激しさで、半年おきに新聞を替えると、驚くようなサービスが今でもついてくる。おかげで、この夏は、ビールを買わなくても済んだが、はたしてこのまま成り立つのか?きわめて微妙だ。(←拡販材料で転ぶような浮気な読者ほど得をし・p88ということ)とりわけ、ネットの普及により、新聞を家でとらなくても、最新の情報は把握することができるし、少し時間が遅れてもいいのなら図書館で読むことはできる。
著者は毎日出身者として、毎日と産経と中日の業務提携を、経営の視点で提案しているが、紙面づくりからいえば、今回の空幕長の論文問題をみても、この三紙の間のとらえ方の差は激しく、いかがなものかとは思うが、このままでは商売として成り立たないことは明らかともいえる。

p4:部数至上主義が生む極端な過当競争の弊害、編集工程を含めた生産や流通面での非合理性、こうした壁を乗り越えることが「生き残り」への最低条件です。

p26:外交やビジネスは塩野七生さんの言うとおり(海の都の物語より)「良識とは受け身に立たされた側が云々することなのだ。行動の主導権を握った側は、常に非良識的に行動するものである」

p29:新聞産業にとって幸福な時代が終わったのは、80年代に始まり、90年代に表面化したと考えるのが良識的。バブルの崩壊とインターネットの影響。そして携帯電話の普及。広告収入の激減も。

p51〜ネットのヘビーユーザーには若い世代が多く、「靖国参拝」のようなナショナリズムに係るテーマでは、よけいに燃え上がる傾向にありますが、それを「危険な右傾化」と心配する必要はないでしょう。・・・朝日新聞岩波書店の言うことがすべて、みたいな親(世代)に子供が反発するのは、不思議ではありません。

p54:『新聞は生き残れるのか』(中馬)による批判まとめ 1.市民の方が新聞より人権に敏感 2.表現の自由は絶対のものではなく国民の利益や個人の人権のために制約されても仕方ないが主流に 3.格差の拡大と階層化で中流層が崩壊 4.若い層は新聞自体が権力と批判

p146:(テレビと新聞系列下の歴史をたどった上で)竹中総務相の発想は、新聞とテレビというより、放送と通信の垣根を取り払えば、現在2業種で20兆円の市場規模は倍まで広がる。そのために必要な規制緩和と法整備を行い、NHKとNTTを抜本的に改革しようというものでした。

p166〜新聞復権の2段式ロケット:1.現在の新聞界に、読売朝日の2大紙に対抗できる第三極を作る。 2.ITの中に新聞機能が包含されるビジネスモデルへの転換

p204〜電通総研/藤原治社長の予言:2011年、地上デジタル化の完了でネットとメディアの融合が実現し、あらゆるメディアがeプラットフォームに一本化される。

p205:シュートムービー『EPIC2014』が予言する世界、新しい記事を作り出すグーグルとアマゾンの「グーグルゾン」とニューヨークタイムスの抗争劇・・キャス・サンスティーンは、「デイリーミー現象は、社会の分極化を招き、民主主義の阻害要因になりうる」

p208:ウェブ上の民主主義は機能する、のが究極の民主主義が、あるいは衆愚主義なのか・・

{図書館から11/2借り5読了、記入は10}