読書録

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『日本共産党』 筆坂秀世 著

日本共産党 (新潮新書)

日本共産党 (新潮新書)

共産党の元ナンバー4の幹部が綴る政党活動の実態。民主集中制という、いったん上が決めたらそれに従わなければならないこと、トップはなかなか交代できない構造であること、現場は疲弊しきっていること、などなどが資料や証言で明らかにされている。

選挙のたびに、大企業優先の政治路線転換や、憲法改悪反対など、それなりに正論とは思うのだが、候補者がみな不破氏のような話し方・内容であることが共感を呼べないのかとも思ってきたが、この本を読むと、それも仕方ないことなのかと感じる。

おりしも、志位委員長の動画が、ネット上でかつてないほど見られているという記事を読んだが、次は結構、票を伸ばす可能性がないわけではないだろう。ただ、著者が指摘している問題点や課題は、いまだに解決されたかどうか、微妙かとも思う。
とりわけ、「民主集中制」ということばで代表される「意思決定のシステム」は、組織の停滞を招いているような印象さえ受ける。

以下引用↓
p54:赤旗は350万→半分以下の164万 、 26000支部→24000支部
p73:どの候補も同じことを繰り返している・・一枚岩かもしれない・・創意工夫がない、オリジナリティがない
p81:無理な党勢拡大運動がかえって党員のやる気を失い、組織を蝕んでさえいる
p88:すべての人事はトップが決める→本当の意味での選挙などない
p104:議論が建前や綺麗事に終始するのは日本共産党の特徴といってもよい。
p139:何でも自分たちに都合よく解釈するというのは共産党の得意技ではあるが、
p154:ご都合主義の選挙総括→いつ如何なるときも自画自賛である。総括の4つの定石 1.政策訴えは意義があった 2.議席減の場合は、自民や民主、メディアなど責任を他者に転嫁 3.良い指標を最大限に強調する 4.党員と機関紙を増やして党員の水準を引き上げるなど党員を叱咤する
p166:「正しい共産党」など正しくない
p188:人間が生きていくのは白と黒だけではない。グレーもある。だが共産党は・・「自分たちだけが真っ白」だという。・・国民はそういうところに胡散臭さを感じるのである。
p190:企業献金を拒絶する政党の存在は、間違いなく意味がある。吹き荒れる新自由主義の猛威と対抗できる政党にもなってほしい。あくまでも社会保障や福祉を重視する役割も果たしてほしい。・・共産主義社会などまったく将来への展望がないのだから、無理をせずに、強がらずに、普通に国民に好かれて、国民のために活躍する政党になればよいではないか。

{図書館で10/19借り29読了、記入は11/2}