読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『日本の統治構造』 飯尾潤 著

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)

第9回「読売・吉野作造賞」の受賞作で、6/10読売新聞・選考委員会座長・宮崎勇氏によると、(以下引用)「国会は国権の最高機関」であり「国会議員は国民の負託によって国政を代行する国民の代表者である」とする憲法に照らして、日本の統治機構を歴史的国際的に分析した力作。とり上げられた問題は内閣、与党、政権交代など広範に及んでいるが、その核心は、日本の統治機構の実体は憲法の意に反して、政党政治家を内閣の主体と考えず「省庁の代表者」が集まった「官僚内閣制」が継がれてきた。これを普遍的な「議院内閣制」に転換すべきだと強調した点にある。時宜を得た力作  とのこと。


読んでいて、大統領制より議員内閣制の方が、権力集中的な制度でありながら、官僚内閣制ゆえに意思決定の主体が不明確化し問題となると指摘している点(p25)は、確かにこれまでの一般政治常識からすると、新鮮味があった。


また、議員内閣制の確率は、政党政治の活性化があってはじめて成し遂げられるが、そのためには、「党派性への拒否感」を払しょくする必要がある(p209)のもその通りだろうが、なかなか感性では、この拒否感というのが消えないような気がする。


いまの国会のねじれに関連して、著者は、p215で、「議員内閣制の貫徹のためには、第二院の権限が、選挙によって確立した第一院の方針に反しない程度に制限されるか、一院制へと移行することが必要なのである」と、イギリスやスウェーデンの歴史を紹介しながら説く。また、p219で「政党政治の確立によって、明確な多数派の意思を確定し、首相を中心とするしっかりとした行政府を構成することを求めながら、参議院が違う役割を果たすことで、多数派民主制を補完する制度を持つことが構想されるべきである」として、憲法改正についても言及しているが、このあたりの論調は、読売新聞と相性が良いということか。
現状がいいとはいえないものの、違和感も覚えたのは何故だろう・・・

{図書館で5/25借り6/21読了、記入も同日}