読書録

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仕事のなかの曖昧な不安/玄田有史

仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在 (中公文庫)

仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在 (中公文庫)

フリーターや若年失業が増えた背後には、中高年の雇用既得権を優先する構造問題があったことや、幸福な転職の条件には、職場以外に有益な助言をしてくれる友人の存在=ウィークタイズのことなどを、データを駆使して解説し、仕事のなかの曖昧な不安への解決への糸口を示そうとしている。

p127:不平等感の高まりと賃金格差→頑張ればなんとかなる社会から、頑張っても仕方ない社会に変貌しつつあるのか。佐藤俊樹引用。
p128:80年代後半以降、努力しても仕方ない階級社会を生み出し、エリートが責任を喪失、現場は希望を持てず、努力する気になれない方向に向かっている。
p147:石川経夫引用で、学習や訓練の機会があるかないかで労働市場の二重構造に。仕事を通じて自分の成長を実現できなくなりつつある。
p148:成果主義と働きがい→能力評価が働く不安の背景にある。能力→成果は、人に払う→仕事に払うという変化。
p153:成果主義が生産性を向上させるには、仕事の明確化が必要、そうでないと仕事格差が拡大し、働く意欲が低下する+能力開発。
p158:問題は未来性への欲求。「現在」に追い込まれ、「将来」への展望が見えないなら、働きがいが阻害されることもあり得る。
p163:松下政経塾の選考で重視するのは、「愛嬌があること」「運が強そうなこと」。開業者に必要な資質も同じ。
p192:転職についての友人・知人の重要性→グラノヴェター弱い紐帯の人脈活用が大切。
p213:現在の日本社会は言いようのない停滞感や閉塞感。打ち破るのは女性が自分で自分が仕事上のボスになること・・・・。
p235:(高校生への講演より)中高年の雇用を維持する代償として、若者の修業機会が減っている。
p238:仕事のなかで「頑張る」という言葉をあまり使わないようにする。追い詰めてしまうから。
p248:夢を持てとか好きなことを見つけなさいと言われるが、実際にはこれが一番大変。みつからないから苦労する。大人もフリーターに正社員だけではいけない。一方、若い人たちもはっきりと自分の戦略を持つ。夢や好きなことが見つからなかったとしても、何かの形で必ず自分で自分のボスになるんだという気持ちを持つこと・・信頼できる友達の輪をたくさん持っていれば、チャンスは訪れます。だから、できるだけたくさんの大事な友達を作ってほしい。あたらしいタイプの独立した働き方をする人たちがどんどん登場することを期待しています。
p269:(あとがき)「あなたはこれまでどんな仕事をしてきたんですか」という見知らぬ誰かの問いかけにどうこたえるか、これを意識して働くほうがいい。ささやかな誇りを持って語ることが働くことそのものの意味・・・。
{フォーラムで7/21借り8/11読了}