読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

しゃべれどもしゃべれども/佐藤多佳子

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

主人公の落語家・今昔亭三つ葉、小学生の村林優、テニスコーチの綾丸良、女性の十河五月、元野球選手の湯河原太一の5人が、しゃべることに自信を持とうと集うことになった落語教室をめぐり、物語は淡々と進んでいく。
文庫版の解説によれば、本書のテーマは、「自信を持つとは何か」で、「肝心なのは自分で自分を「良し」と納得することかもしれない」と三つ葉に語らせ、この本は、「自然な良しが言えなくなっている人間たちの物語、心が通う瞬間をなかなか信じられない者たちの物語、としている。「落ち着かなくてざわざわしていらいらして痛むような感覚」と「あまりにかすかでたよりなくて、相手を不安にさせるような表情」が強調され、テーマと手法が不可分で、巧みな計算を軽妙に仕立てた物語の背後にひっそりと隠していると解説されている。
自信を取り戻していく登場人物たちに、最後はどこかほっとした部分を感じることができた。


{図書館で8/8借り10読了}