読書録

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遭難者の夢;家族狩り2/天童荒太

遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫)

遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫)

p39欲望を抑えて質素に生きろという両親に対し「だっておいしいものを食べたい、便利な暮らしを送りたいって、そういう欲求が世界を豊かにしてきたんじゃないの?」

p199恋人と家庭をめぐる議論で「夫婦が愛し合って、子供を立派に育てて、マイホームを持って、家族が互いに信頼し合っている・・そういうのが一般的でしょ」

p208「力を持つ誰かが、他者を自分のモノ、自分の所有物と考えて、自己の欲求や都合を押し付ける・・・これが男女の問題にとどまらない、家族をはじめとした人間関係、経済活動や犯罪、そして世界の主たる国々の外交に至るまで、あらゆる言動の根っこにある価値観を成していると、遊子は中学の頃に気づき、強い嫌悪感を抱いた」

この物語の展開の背景には、9.11テロとアメリカのイラク攻撃、難民問題などが織り込まれ、今をどう生きるかを考えさせられる。

{地下鉄のリサイクルコーナーから}