読書録

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コンビニ人間

コンビニ人間

コンビニ人間

 2016年の第155回芥川賞を受賞した本書には、衝撃を受けた。“普通”を期待する周りの人たちと、主人公の考え方の落差、何より、なるほどというコンビニの働き方の細部が面白い。

 ちょうど5/5の日経新聞に、ロバート・キャンベルさんが「半歩遅れの読書術」の中で、本書について音楽との関わりで取り上げていたが、なるほどさまざまな音が溢れる本書の世界がよくわかった。


発刊した文藝春秋のサイト⇒ http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163906188


 検索の推測で、本書名のあと 名言 が表示されるぐらい、様々な方が本書についてすでに書いているので、ここは自分が印象に残った文章を3つだけ引用したい。

p77:正常な世界はとても強引だから、異物は静かに削除される。まっとうでない人間は処理されていく。
p85:白羽(縄文時代の話が好きですね)「好きじゃない。大嫌いだ!でも、この世は現代社会の皮をかぶった縄文時代なんですよ。大きな獲物を捕ってくる、力の強い男が女に群がり、村一番の美女が嫁いでく。狩りに参加しなかったり、参加しても力が弱くて役立たないような男は見下される。構図はまったく変わっていないんだ」

p99:白羽「だから現代は機能不全世界なんですよ。生き方の多様性だなんだと綺麗ごとをほざいているわりに、結局縄文時代から何も変わっていない…生きづらい、どころではない。ムラにとっての役立たずは、生きていることを糾弾されるような世界になってきている、p99


 主人公の立場にたてば、多様性を認め、そういう生き方でもいいんだよ、ということかも知れないが、逆にマニュアル化された心地よさに埋没していくことが、オーウェル1984の世界に似た恐ろしさも感じた。


{2018/5/6-7読了、記入は5/8}