読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

極北ラプソディ

極北ラプソディ

極北ラプソディ

世良、今中、速水、花房・・・過去に登場してきた人物たちが、破たんした極北の自治体の救急医療で登場。著者の厳しい医療行政批判やメディア批判を織り交ぜながらも、本著は、連載されていた時期に震災があったためか、支え合うことの大切さというか喜びが表現されている。こういっては失礼かも知れないが、重松清さんの本を読むかのような感動を覚えた部分もあった。感動したところでいえば、『ルールを破ってまでも信念に基づいてやる』というのが、映画プリティウーマンの最後にリムジンを手配してあげるところを思い出してしまうのが恐縮なのだが、涙腺が刺激される王道なのかと感じた。また、ドクターヘリで、ヘリコプターの細かい描写やオートローテーションのことなどを読むと、著者はこの分野も好きなのかも知れないと想像した。


p305:速水「いのちを救う現場はいつも修羅場だし、目の前の境界線を踏み越えれば救える命もある。それが見えたら、俺はルールを破る。これまでもそうしてきたし、これから先もずっとそうし続けるだろう」


p375:久世「過去を後悔する必要はない。これから先も、世良君は自分の信じる道を行けばいいんだから」


p376:これまでの自分は本当に、ひとりきりで闘ってきたのだろうか。今の世良を支えているのは、本当に自分自身の力だけなのだろうか。


p380:久世「医療を救うには、医療を取り巻く空気を変えなければならない。特効薬は、市民の意識教育だ。医療を叩いて利益を得ようとする邪悪な意思から、無垢な市民と善良な医療を守らなければならない。」


それにしても、期待通りに面白い。

{11/1-5読了、記入は9}