読書録

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パラサイト社会のゆくえ/山田昌弘

パラサイト社会のゆくえ (ちくま新書)

パラサイト社会のゆくえ (ちくま新書)

この本を借りるのは2度目かもしれない、子どもたちにほしいものがなくなり、また、中年女性が「プリモプエル」にはまるところなど、読んでいて気がついた。この人形など、人に贈られて持っていたが、これほど人気があったものは知らなかったことも印象に残っている。

p25:1998年が日本社会が不安定化したことがはっきりした節目の年。自殺者数が3万人台に急増。望ましくない方向に転換。
p32:1998年問題とは、将来の生活の不確実化に直面し、その不確実化に耐えられない人々が起こす問題とかんがえられないだろうか。
p47:自分の子供だけは世間並み以上のお金や手間をかけて育てたいという意識の克服が出来ない限り、少子高齢化は止まりそうにない、となれば、個々人の損得を超えて、社会的に子育てを支援する仕組みを早急に作らなければならない。
p87:昔の子どもが夢見たマイホームは、そこそこの能力の人が普通に努力して手に入れられるものだったから夢見ていられた。今、豪邸を持ちたいといった夢を追い続ける青少年がいたなら、よっぽどの自信家か、非現実的な夢想家に違いない。
p95:お年玉を貯金化する子どもの状況は、「これを買えば満足できる」という人生の物質的目標の焼失、決断を先延ばしして責任を回避する傾向など、現代日本社会が抱える問題が子どもの行動に反映していると言ったほうがいいかもしれない。
p100:今では女性に職業世界の道が開かれた一方で、男性の雇用が不安定化している。このような時代の流れに気付いている親と気づいていない親の格差が広がっているのではないか。経済的に余裕のある親は塾に通わせたり高度な専門り能力を身につけさせようとする。今の公教育システムが、現代という時代に対応していないのではないか、多様なプログラムを用意すべき。ゆとりの楽観論に陥ってはダメ。
p130:成長する人間やペットは、子供の代わりというより、理想的な家族を想像する手段 か きっかけとしてある。人形やペットに接するとき、自分をいちばん大事にしてくれる存在が家族なのだと実感する。だから40代の子育て後の主婦が人形を買う・・・
p146:「自分を必要とする存在」がいると思えば、いくら苦しくても人間、自殺の実行まではしないものである。・・妻子を養うことが男の役割という性役割分業の負の遺産に苦しめられている男性という構図が見えてくる。
p162:年金制度の3つの前提が崩れる1.出生率が安定 2.サラリーマン-主婦型家族が安定 3.男性の仕事は安定し収入は増大 少子高齢化の進展によって、年金自体の収入、支出のバランスが崩れた。

{図書館で9/7借り8読了}