読書録

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下流志向/内田樹

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

副題にある「学ばない子どもたちと働かない若者たち」がなぜなのか、「学び」と「労働」から逃げようとする志向について
読み解いていこうとしている。「これは何の役にたつのか」とすぐ問う子ども。役に立たなければしようとしない、また、努力しないという状況が象徴的。格差やニートの問題も、自分で決定して満足していることに課題があるとする。刈谷氏の著作も引用して「将来のことを考えるより今を楽しみたいとい思うほど、自分には人よりすぐれたところがあるという自信が深まる(p121)」ことを紹介。また、みんなが青い鳥を探しにいったら、雪かきをする人の仕事の大切さが理解できなくなる(p129)

p141
労働の場では努力と成果が相関していない。ニート最大の難題は、子供のころから一貫して経済合理性に基づいて価値判断を下してきて、その結果、無業者であることを選んだという彼らの側の首尾一貫性は経済語合理性を論拠にしては突き崩すことができない。
p142
かれらが有用無用の判断基準にとるのは、財貨やエロス的愉悦や政治的威信や享楽的な熱狂といった こどもにでもわかる価値だけ。彼らはそれを労働との等価交換で手に入れられるという確証が与えられた場合ののみ労働を受け入れる
p208
「『おれのことはほっておいてくれ』という人々がもたらす社会的コストを減らす方法は、『わるいけどほっておけない』という『おせっかい』しかない」←横浜国大の金井淑子氏をひきながら、『自己決定自己責任』から『親密圏』の再構築をとなえている。
p209
「世の中それほど冷たくないよ」ということをアナウンスしてあげて、実際に手を差し伸べれば、そこからゆっくりとでも事態は変わってくるんじゃないか。

{フォーラムで5/11借り5/23読了}