- 作者: 井上薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/02
- メディア: 新書
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判決の理由欄に「蛇足」を書くことの弊害を説く。p129「判決の理由欄の蛇足は、判決の主文に影響を及ぼさず、理由欄に記載する価値はゼロである・・・この蛇足を書くために必要であるとして実施された心理もまた無駄である。このような蛇足の記載も審理も、すべて無駄であることをしっかり心に留めるべきである」
刑事では無罪なのに民事では殺人を認定された被告の理不尽さはわかる。
ただ、戦後補償や中国人の強制連行などで、法制度整備への提言部分をすべて無駄といっていいのか疑問が残る。
確かに、結論は時効などで訴えの利益がないのだから、それだけでよければ裁判は早いかもしれないが、軸足をどこにおくのか。
著者は、社会運動の一環として司法の場に持ち込まれること自体がおかしいとの論理展開だが、それしか手段がないのなら、それも仕方ないのではないか。もし戦後補償裁判ですべて審理なくすべて迅速に却下されたら、逆に問題は深刻化するのではないだろうか・・・
{図書館で6/1借り6/20読了}