- 作者: 朝井リョウ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/11/30
- メディア: 単行本
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映画を先に見たあと本著を読んだが、映画が原作とほぼ同じ流れで、就活に悩む5人とSNSへの発信など、ちょうど子どもがそういう時期に入ってきているので、身近なこととして鑑賞し&読んだ。
映画の公開は去年10月で、ことし4月から放送された朝ドラ『ひよっこ』のヒロイン役・有村架純が瑞月を、現在放送中の大河ドラマ『直虎』の直政編で主役級の菅田将暉が光太郎を演じ、いまをときめく俳優たちの活躍に見入った。
また、10月30日夜に神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件の続報が、連日大きく報じられているが、鍵となっているのはツイッターでのやりとり。遺体を遺棄した疑いで逮捕された男は、ツイッターに自殺願望を書き込んでいた複数の若い女性に一緒に自殺することを持ちかけていたことなどが明らかになってきている。
発刊した新潮社のサイト⇒ http://www.shinchosha.co.jp/book/126931/
映画のサイト⇒ http://nanimono-movie.com/ 映画.com⇒ http://eiga.com/movie/83799/
メールアドレスでSNSのアカウントを検索p158、というのは怖い。どこまで個人情報を関連付けていくか、きちんと考えて対応しなければいけないと改めて考えた。
映画でも気になったやりとりで、サワ先輩が主人公の拓人にかける言葉、「選ばれなかった言葉のほうがきっと、よっぽどその人のことを表しているんだと思う」「たった140字が重なっただけで、ギンジとあいつを一緒に束ねて片づけようとするなよ」P173、は、ネット時代だからこそ、重要な要素だろうと思う。
二階堂ふみが演じた理香が、グループ討議でさまざまな経験を紹介する場面も引っかかるところがあったが、本著で、「見えない名刺を配っているような話し方に、メンバーがうんざりした表情をしていた」p207の表現はなるほどと感じた。
瑞月が隆良にかけたから「十点でも二十点でもいいから、自分の中から出しなよ。自分の中から出さないと、点数さえつかないんだから。…(中略)…百点になるまで何かを煮詰めてそれを表現したって、あなたのことをあなたと同じように見てる人はもういないんだって」、拓人の「頭の中にあるうちは、いつだって、何だって、傑作なんだよな」「お前はずっと、その中から出られないんだよ」の流れが印象的で頭に残る。そしてそれが、最後には自分に返ってくるということか。
ネットやメッセージでのやりとり、発信内容と本音の部分、人間関係の変化など、『ルビンの壺が割れた』もそうだが、いまの時代状況からこうした小説が時代を表していると思いつつ、50年後、100年後にはどうなっているのだろう。普遍性があるように思いつつ、周りにはツイッターを使っていない人も結構いるので、どう受け入れられるか、微妙なところもあるのかもしれない。
- 作者: 朝井リョウ
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{2017/10/27-28読了、記入は11/3金祝}