読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『SNS変遷史 「いいね!」でつながる社会のゆくえ』 天野 彬 著

  SNSの変遷や特徴が、データを含めてきっちりとまとまっていて、辞書のように傍らに置いておきたい一冊。

 著者は1986年生まれで中学時代からネット空間になじんでいたとのことだが、パソコン通信のことについても記述があって、懐かしく当時のフォーラムなど思い起こした。

 SNSを巡っては、分断を加速させる化という議論もあるなかで、ラストの一言p317「SNSの良いところは、その機能の根底にボトムアップ性があることだ。だから、誰もが自由につながり、自分のためのテクノロジーとして活用することができる-これからも、そんな良さを感じられる空間であればと一人のユーザーとして願っている」というメッセージに、著者のSNSへの愛情を感じた。

発刊したイースト・プレスのサイト↓に詳細目次あり

eastpress.co.jp

 

 いくつか引用してメモ

◇ユーザー5000万人獲得まで、電話50年、テレビ22年、携帯電話12年、インターネット7年、FB3年、ツイッター2年で、普及の速度が加速度的に上がったことわかる:p4

◇デジタルメディアの3つの特性として、
1)双方向でフラットなコミュニケーションの促進
2)テキスト~映像といった形式をすべて備えるメディアで何でも表現できる
3)情報の増加でベタな知識とメタな知識が共存する、突き詰めたのがSNS p5

◇シンプルな見取り図として3つのフェーズ
1)パソコン通信から掲示板、個人サイトの時代
2)発信のハードルが下がったものとしてのブログや前期SNS
3)スマホ普及とともに、よりマイクロ化・手軽化・分散化した後期SNS p6

ソーシャルブックマークにあった可能性:
はてながコミュニティのよう&Newspicksが設計思想に近い 
・ニュース記事の管理でタグ付け行い、タグソノミー文化の一部、情報量の増大を解決する受け手のリアクションだったと言える p69

SNS活用の三つのM:観察、交流、測定、p112

◇「セカイカメラ」のポテンシャルで、限定性は大きな価値を生む
ex「姉ヶ崎寧々タグ」事件p123

◇「暇な女子大生@bored_jd」ツイッターアカウントでフォロワー20万、
⇒テレ朝のドラマ『暇なJD・三田まゆ』p140

◇インスタの構図、レフ・マノヴィッチによる4タイプ
⇒フラットレイ、ファーストパーソン、ミニマリズム、シーン、 p148

◇情報との出会いは「ググる」から「タグる」へ:シフトの理由 p158~
⇒1)情報源としての信頼性、2)リアルタイム性、3)スクリーンサイズの最適性、
4)感性への訴求力、

◇我シェアする、ゆえに我あり:I shared,therfore I am MITシェリー・タークル p177

シミュラークル=模倣、コピー、模造など仏ジャン・ボードリヤールのターム p192

◇『仮想人生』(はあちゅう)『何者』(朝井リョウ)で描かれる承認欲求の発露p254

www.gentosha.co.jp

◇長谷川正人氏・奥村隆氏(2009年)による二面性、
・対話的と改変可能性を支える夢、+ARでmv『電脳コイル』『東のエデン』p296~7

www.tokuma.jp

 引用が多岐にわたってしまったが、紹介されている映画や小説など、ぜひ接してみたい。

 

{2020/09/23-10/2読了、記入は10/03(土)}