読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『幸福の増税論』 井手 英策 著

 

幸福の増税論――財政はだれのために (岩波新書)

幸福の増税論――財政はだれのために (岩波新書)

 
幸福の増税論?財政はだれのために (岩波新書)

幸福の増税論?財政はだれのために (岩波新書)

 

  

 トランプ政権の誕生や、イギリスのブレクジットなど、これまでの路線への異議申し立てが世界で続く中、どういう制度・体制が良いのか、悩ましいところ。本著では、北欧型の税を負担してでも再分配を進めてミニマムや社会保障を進めるべきという論が進められている。

 ただ、このところ消費税を予定通り10%にするのかどうかをめぐって、MMT(現代貨幣理論)が米で注目され財政赤字を容認する声があったり、4月18日の萩生田幹事長代理の延期論と衆参同日選に言及したあたりから、このところはさらに解散風が強まるような動きがあり、どう政策を選択していくのか、考えたいところ。

 
発刊した岩波書店のサイト↓

www.iwanami.co.jp

    
 
◇興味深かったポイントを以下に引用
P32:生活水準の低下、将来への不安、国際的な地位の低下、このようなきびしい状況のなかで、僕たちは勤労と倹約、そして自己責任をつきつけられている。
 
P34:(ふたつの方法)
・かつてのような成長を取り戻し、自己責任で将来不安にそなえられる状況を作る、勤労国家再生アプローチ、
・低所得層や生活支援の必要な人たちを救済し、彼らを社会のなかに包括していく格差是正アプローチ、
 
P52:所得格差の平等だけでなく、自由、愛国心、人権といった価値観さえも十分に分かちあえないような社会が生まれようとしている。
 
P53:内閣府2017年の国民生活に関する世論調査:中と答えた人の総数は92.4%。
 
P79:スピノザは、国家は「本来共通の恐怖を除去し、共同の不幸を排除するために建てられる」と述べ、「何びとも孤立しては自己を守る力を持たないしまた生活に必要な品々を得ることができない」から「人間は本性上国会状態を欲求」すると述べた(国家論)
 
p135:痛みと喜びを分かちあい、ベーシック・サービスを無償化にちかづける再分配革命によって尊敬ある生活保障をおこない、だれもが堂々と生きられる社会をめざす。・・最低限ではなく品位のある命の保障を行うべきである。
 
p140:敵意と憎悪から痛みの分かちあいへの思想的転換をすすめるのである。
p144:EUでは日本の消費税にちかい付加価値税を共通税としており、EU指令に基づき標準税率を最低でも15%にしなければならないことになっている。最低がルクセンブルクの17%、最高はハンガリーの27%、
 
P206:抑えられる顕示的消費、すすむシェアリングエコノミー:
P209:「ウォンツからニーズへ」、そしてニーズのなかでも、「個人的ニーズへの相互扶助の浸透、価格の低下」という大きな変化が起きている。・・危機の時代には必ず前面にあらわれる家族の原理が、政府とむすびついたのが頼りあえる社会であり、市場とむすびついたのが、シェアリングエコノミーなのである。
 
P229:北欧社会を支えてきた社会民主主義は、日本のリベラルにとっての重要な価値をわかりやすく示してくれている。それは、自由、公正、連帯である。・・だがこの3つの価値が逆立ちし、消失しかけているのがいまの日本社会だ。・・・P230頼りあえる社会は、この3つの価値に本来の居場所へもどるようにうながす。
 
 
◇なお、衆参同日選の可能性を含めて、萩生田氏の発言はどうだったか、ヤフー記事検索(萩生田 & 消費増税)したところ、ヒットした一番早く報じていたのは、ブルームバーグだった↓

headlines.yahoo.co.jp

 あと、記事でヒットしたのは、共同通信や日テレ、それと雑誌系で、大手既存メディアの記事は、1ヶ月もたつと検索にもひっかからなくなってくるということか・・
 さらに、東スポの大手メディアが、発言した番組に言及しなかったことを百田氏が怒ったという記事を配信していたが、確かに、ネット番組としか記憶になかったので、これも引用してメモ↓ 

headlines.yahoo.co.jp

 『虎ノ門ニュース』ということではあるが、はてさて、政局はどう動いていくか、その際、この税をめぐる論議はどう進んでいくか、この夏は熱くなりそうだ。
 
<2019/04/25-30読了、記入は5/18>