読書録

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ジェンダー入門/加藤秀一

ジェンダー入門―知らないと恥ずかしい

ジェンダー入門―知らないと恥ずかしい

入門とはいえ、概念をさまざま分析しているが、なかなか難しい内容。著者の立場は、p178にあるように、男女平等の解釈論として、「性別特性(役割)論」と「平等派(個人間の関係としてとらえる)」のうち、後者を貫いていることは明らかで、最近のフリーセックス奨励の性教育非難といった「バックラッシュ」への反論を展開している。

「男は会社、女は家庭」というような性役割や性差別が、ある意味で「伝統」であり、民衆の生活に根ざした知恵であるとしても、それによって虐げられ、不満を抱き、それを覆そうとして戦った人たちも歴史上連綿として居続けた事実はあり、現存する秩序だけが唯一の秩序ではないし(p185〜)、多数決という原理によって排斥するのは民主主義ではない、という、最後のほうの部分は、現実問題と照らし合わせて、説得性のある議論かとは思う。

なおp23〜に、ジェンダーの4つの用法 1.性別そのもの 2.自分の性別が何かという意識(ジェンダーアイデンティティ性自認) 3.社会的につくられた男女差(ジェンダー差、性差) 4.社会的につくられた男女別の役割(ジェンダー役割、性役割)について紹介。

明治時代のような性役割と性差別を再び確立しようと狙う政治的な動きが活発になっている(p144)事態に対しは、明らかに違うと実感しているが、著者の活躍に期待したい。


{フォーラムで1/9借り2/8読了、同日記入}