読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『オンラインでズバリ伝える力』 佐藤 綾子 著

 コロナ禍のもと、オンライン会議が増える中、ノウハウを伝えている。帯にあるように47のコツのなかで、最初の1秒の大切さや、0.8倍速とゆっくりめに話すこと、「私は」よりも「私たち」を使っ手興味を引くなど、覚えておくと役立ちそう。 本著には、「ASオンラインセミナー受講生評価表」や「ASオンライン自己表現力テスト」など、実践的な内容が盛りだくさん。引用する場合は、「©佐藤綾子」と書くことを求めており(p162)、さまざま文書に「AS」とつくのも、著者の誇りと権利意識なのだろうか。

オンラインでズバリ伝える力

オンラインでズバリ伝える力

  • 作者:佐藤 綾子
  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: 単行本
 

  発刊した幻冬舎のサイト↓

www.gentosha.co.jp

 引用には気を遣いそうなので、勉強になるところは多々ある中で、これまでの自らの失敗も含めて教訓として、p125から
わかっていない質問には答えてはいけない
ことは肝に銘じておきたい。
 
{2021/4/26-27読了、記入は4/30(金)} 

『おらおらでひとりいぐも』 若竹 千佐子 著 

  第158回芥川賞を受賞し、映画化も。 

 主人公は、日高桃子p67さん74歳、夫は周造(しゅうぞう)p17:さん。不思議な味わいのある作品だった。

おらおらでひとりいぐも (河出文庫)

おらおらでひとりいぐも (河出文庫)

 

 発刊した河出書房新社のサイト↓

印象に残った言葉をいくつか引用↓
p12:あと何年。とにかくこの状態を維持しながら、あと何年生きられるか。んだ。これからは常に逆算して、ものを考えナければならないのであって。
p13:小腸の柔毛突起(じゅうもうとっき)のようでねべか。
p21:あのときは、小さくて分がらながったが、何もできなくなるのが何ぼか心細かったか。
p26:(ぎりぎりのとき、感情を押し込めるために/目先を変えるため、呪文のように地球46億年の歴史を呟く)
(p29:40年ここで暮らした)
p43:期せずして桃子さんも娘を自分好みに思い通りに操ろうとしたのだ。
p51:自分がやりたいことは自分がやる。簡単な理屈だ。子供に仮託してはいけない。仮託して、期待と言う名で縛ってはいけない。
p52:もう誰からも奪うことがない、奪われることもない。風に吹かれて、行きたいところに行く。休みたいところに休む。もう自由だ、自由なんだ。

 

p75:八角山の夢 実在かと思って、山の名前で検索したら↓ 以下がヒット
 再び言葉の引用を以下に↓
p87:おらしあわせだったとも 身も心も捧げつくしたおらの半生 周造のため・・・満足であった。最高でござんした
p88:人のために生きるのは、やっぱり苦しいのす。伸び伸びと羽を広げたい。空を自由に飛び回っていたい。それは誰も本然の欲求だど思う。
p90:おらくやしいのは新しい女のつもりだった。家に縛られない。親の言いなりにならない。・・・結局古い生き方に絡め捕られた。誰それのため生きるという慚愧怨念の生き方をしてしまった。
p94:派手な柔毛突起 愛という名のもとにどちらも十全には生きられない 愛とはどういうものかしら
p115:もう今までの自分では信用できない。おらの思っても見なかった世界がある。そごさ、行ってみって。おら、いぐも。<タイトル>  

 歳を重ね、これからどう生きるか?示唆に富む内容にはなっていたと感じた。

 
{2021/4/20-22読了、記入は4/30(金)}

『アーモンド』 ソン・ウォンピョン 著 訳者:矢島暁子

  本屋大賞翻訳部門に選ばれたことで、このところ書店の目立つところに並んでいる本著、扁桃体=アーモンドが小さく感情がわからないという主人公の、特異な話かと思ったが、心に打たれる部分が多々あった。

アーモンド

アーモンド

 

 主人公についての特徴などを以下にまず引用 

p22:僕は笑うことはなかった。
p29:医者たちが僕に下した診断は、失感情症とも呼ばれるアレキシサイミアだった。
p31:(頭の中のアーモンド 扁桃体小さい・・研究結果によって、僕の名前が付けられるかも)ソン・ユンジェ野
p56:クリスマスイブは、僕の誕生日だった。
p174:ドラは、ゴニとは正反対のところにいる子だった。(/ユン教授の子)

発刊したCopyright© SHODENSHAのサイト↓ 

 印象にのこった箇所や言葉を以下に引用↓
p66:(母さんとばあさんがいなくなり)今や完全に一人だった。

p126:「救うことのできない人間なんていない・救おうとする努力をやめてしまう人たちがいるだけだ」元死刑囚のアメリカの作家P・J・ノーランの言葉

p130:(シム博士)自分が妻をどれほど愛していたのか、それなのにどうして妻を救ってやることが出来なかったのかばかりを考えていた。

p208:目が合った。ふたりとも、目をそらさなかった。(ドラと)
 
p266:「人間を救えるのは結局、愛なのではないか。そんな話を書いてみたかった」と著者は語っている 訳者あとがき

 

 このところ、韓国の文学が続くが、BTSの米トップや、アカデミー賞、Netflixでの愛の不時着など、エンタメ分野ではなかなかな躍進が目立っている印象を受ける。従軍慰安婦訴訟やDHCのHP表現など、さまざまな問題が、相互に理解を深めることで、よい方向に解決されることを望む。

 

{2021/4/19-20読了、記入は4/24(土)} 

『仕事に「好き」を、混ぜていく。 あなたのB面を本業に生かすヒント』 電通Bチーム 著

  タイトルにあるように、本業とは別に、好きなことでコラボしながら能力を発揮し、新たな価値をみつけていく、というのは、とても素敵なことだとは思う。

 発刊した翔泳社のサイト↓

www.shoeisha.co.jp

 巻末にしょうかされている著者の電通Bチームのサイト↓

bbbbb.team

 印象に残った部分をいくつか引用してメモ。代表の倉成(くらなり)英俊氏(pⅣ)がまとめて書いているとのことだが、p167で、ステージ3の直腸ガンにだとBチーム発足から1年もたたない2015年にわかり、人生は有限で、仲間の才能や貴重な時間を無駄にはできないと気付いたという。 

p4:(良い仕事の共通点)人々の「新しい価値観へのシフトを手伝っている」ということ

p15~チームが大切にしている3つのこと、1)「好奇心」、2)「パーソナルなこと」、3)

visionは「自分たちが生きるこの社会をよりよくデザインすること」~p19

p163:ワークとライフはバランスを取るものではなく、ミックスするものだという考え方がハッキリしました。 中島英太 (フェス担当)

p170:最後のMission8;「Curiosity First」で、「パーソナルなことを大切に」して、「自分たちの社会をより良い方向へデザイン」できるように。良い仲間たちと、世の中へ何かを提唱する、その挑戦をすること。お互いに。

 

 また、本著で引用されている記事(QRコード表記)p127より

forbesjapan.com

dentsu-ho.com

 p11で登場する、ロシア人コピーライターのキリーロバ・ナージャさん、ホンダでカンヌ国際広告祭グランプリ、2015年のコピーライターランキング1位になったという。検索すると電通報から↓

dentsu-ho.com

 この読書録を書いている今日、朝刊で以下の記事を見かけた。電通は、現在の本社ビル(2002年、東京・汐留)の売却方針が伝わるなか、多士済々の方々が集うだけに、どの方向に向かうのか、注目していきたい

digital.asahi.com

 

{2021/4/17-19読了、記入は4/30(金)} 

 

 

 

 

『荻原博子の家計引きしめ術 コロナに負けない!』 荻原 博子 著

  25日からの緊急事態宣言が決まった、これを記入しているきょう(2021/04/23)、今後、経済的にはさらに厳しくなることが予想される中、どう家計で乗り越えていくか?で手に取った本。

コロナに負けない! 荻原博子の家計引きしめ術

コロナに負けない! 荻原博子の家計引きしめ術

  • 作者:荻原 博子
  • 発売日: 2020/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 発刊した毎日新聞出版

 
 毎日での連載 幸せな老後への一歩↓
 覚えておきたいポイントを3つ引用↓
p14:【1】最初にすべきは、家計のチェック 1現在の資産(棚卸し)、2月々の出費(生活)
p34:【7】スマホ撮影&整理整頓で節約効果アップ! 持っている服、冷蔵庫や冷凍庫の中
p194:投資なんか、おやめなさい

 どう乗り越えていくことができるのか?・・考えさせられた。

 

 なお、p178に、ネット上で仕事の仲介をするサイト、下記2つの紹介あり。
 これらにお世話になる日がくるのだろうか・・・
 
{2021/4/16-17読了、記入は4/23(金)} 

『不条理を生きるチカラ』 佐藤 優 香山 リカ 共著

  著者の”闘う思想家と精神科医”は、ともに1960年生まれで79年に同志社80年に私立医大に入った(p75)とのことで、ほぼ同世代であることに本著で改めて気付かされる。

 そして、学生時代からの読書など、思想的なバックボーンの豊富さに驚嘆しつつ、それでも、こうした”知”に触れながら、不条理さがまん延するなかで、生き続けていきたい、と思った。

不条理を生きるチカラ

不条理を生きるチカラ

 

 発刊したビジネス社のサイト↓

www.business-sha.co.jp

 懐かしいエピソードとしては、1983年に出版された、浅田彰さんの本『構造と力』。これは、自分も学生時代に買ってはいたのだが、当時読めたかどうか、内容もほぼ覚えていないが、p70~で触れられ、ポストモダンについてさまざま議論が進んでいく。 

構造と力―記号論を超えて

構造と力―記号論を超えて

  • 作者:浅田 彰
  • 発売日: 1983/09/10
  • メディア: 単行本
 

  いろいろメモはしたいのだが、引用し出すと膨大な本や論文になりそうで、いったん中止。メモにこだわると、読むのも億劫に感じるようになってもいけないとも考え、先週に引き続き簡易型で残しておきたい。

{2021/4/10-15読了、記入は4/17(土)}

『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ 著、斎藤 真理子 翻訳

  「日本の読者の方々にとっても『82年生まれ、キム・ジヨン』が、自分をとりまく社会の構造や慣習を振り返り、声を上げるきっかけになってくれればと願っています。あなたの声を待っています。」p172 と書く著者の言葉が重い。 

82年生まれ、キム・ジヨン

82年生まれ、キム・ジヨン

 

 発刊した筑摩書房のサイト↓

www.chikumashobo.co.jp

 内容はネットでもあふれている。この問題は考え続けなければいけない。と記録。いくつか追記引用↓

 

p81:「半分は母さんのおかげだ!」・・・「半分とは呆れたわね。少なくとも七対三でしょ?私が七、あなたが三」

 

p96:面接を受け、ときに外見のことを言われたり、服装について下品な冗談を言われたりし、体の特定の部位へのいやらしい視線や不要な身体接触なども経験した

 

p98:「いったい今が何時代だと思って、そんな腐りきったことを言ってんの?・・・おとなしく、するな!元気出せ!、騒げ!、出歩け!わかった?」

 

p108:「味噌女」

 

p124:2005年2月戸主制度は憲法の両性平等の原則に違反、改正民法2008年1/1から施行

  

{2021/4/7-9読了、記入は4/9(金)}

『AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である』 成毛 眞 著

  英語では「幹」を意味するSTEMとは、サイエンス科学のS、テクノロジー技術のT、エンジニアリング工学のE、マセマティックス数学のMを並べた造語(p16)で、使い始めたのは、アメリカ国立科学財団(NSF)とされているという。

 これにアート芸術のAを加えたタイトルで、これを学ばなければ、これからの世界には通用しない、と言う勢いで書かれている。

 発刊したSB Creativeのサイト↓には、ツイッターやアマゾン、読書メーターへの評価書き込みが表示され、さらっと見ると、高と低で、結構わかれていることがわかる。

www.sbcr.jp

 いくつか、参考になるポイントを引用してメモ。

p135:世界の著名な経営者の愛読書をまとめたサイトがある→

www.inc.com

+世界の経営者はSFを愛読、事業のきっかけになることも
exイーロン・マスクが『銀河ヒッチハイク・ガイド

P148:ポケモンGOをやらずしてインターネットの未来を語るな

p194:プレイステーションVRが人生の分かれ道?

p205:慣性航法装置は巨大で何千万円もしたが、スマホ搭載では100円切る

 

 著者の本は、この読書録で過去に1冊のみ、読んだことがあった。 

mrboopapa.hatenablog.com

  著者が書いた内容で、「誕生日メッセージを送る人は「即ブロック」」というのを、最近見た↓が、ホリエモンと対談した本署の内容を含め、極めて優秀な方なのだろうと思いつつ、そこまで割り切ってしまうことには違和感が残った・・

toyokeizai.net

 

 

{2021/4/3-7読了、記入は4/9(金)}  

『この不寛容の時代に ヒトラー『わが闘争』を読む』 佐藤 優 著

  コロナ禍のもと、ワクチンがなかなか普及しないが、本著は、社会や政治についてのワクチンになるかも知れないという印象をもつ。

 講義形式を文書におさめた内容で、休憩時間の合間に出る課題に対して、的確に回答が思い浮かばず、また、歴史的な経緯や背景、文書など、著者の博覧強記ぶりには驚かされる。ただ、事実や歴史をもとにした言葉や警告は、改めてしっかりと考えておく必要があると受け止めた。
この不寛容の時代に: ヒトラー『わが闘争』を読む

この不寛容の時代に: ヒトラー『わが闘争』を読む

  • 作者:優, 佐藤
  • 発売日: 2020/05/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

発刊した新潮社のサイト↓

www.shinchosha.co.jp

 覚えておきたいポイントや、本署の講義で紹介されている本を、以下引用してメモ↓大学時代のゼミ学習を思い出すぐらい、濃厚な内容だった・・・
まえがき
p7:(コロナの国際社会への影響について)僕は国内では行政権が強まり、国際関係ではグローバリズムが後退すると見ている。
p9:ヒトラーは、第一次世界大戦後、不安定になった国民心理をデマゴギーによって巧みに操って権力を奪取した。新型コロナウイルスによる危機を利用して、権力を掌握する独裁者型の政治家が台頭する可能性を軽視してはならない。その意味で、『わが闘争』の負の遺産から批判的に学ぶべき事柄が少なからずある。
 
1 不寛容はどこから生まれるか?
p12:『ファシズムの正体』 

 p12:『高畠素之の亡霊』 

p16:『わが闘争』 黎明書房1961年 角川文庫に1973年、2015年12月31日著作権消滅でバイエルンの現代史研究所から注釈付きで 

 p14:『ヒトラーの秘密図書館』  

ヒトラーの秘密図書館 (文春文庫)

ヒトラーの秘密図書館 (文春文庫)

 

 p19:『永遠のファシズム』 エーコ 

永遠のファシズム (岩波現代文庫)

永遠のファシズム (岩波現代文庫)

 

 

p21:社会人になっても、高校レベルの教科書を揃えておくことです
p36:『地球星人』村田 『伊藤くんA to E』柚木 
地球星人(新潮文庫)

地球星人(新潮文庫)

 
伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)

伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)

  • 作者:柚木 麻子
  • 発売日: 2016/12/06
  • メディア: 文庫
 

 ←近未来小説で今の危うさが表現されているとのこと

p39:いまの日本でも、自分たちの身の回りで、不寛容さにおいてナチズムを小型にしたような出来事はいくらでも起きるのです。
 
2 お互いの「耐えがたさ」
 
p69:『ナチズムとユダヤ人 アイヒマンの人間像』 村松剛 

 

p83:映画『新しき土』1937年 日独 原節子主演 
原節子 十六歳 ~新しき土~ [DVD]

原節子 十六歳 ~新しき土~ [DVD]

  • 発売日: 2009/04/24
  • メディア: DVD
 

 ←日本人を第二と見ていたが、同盟を受けて日独で作ったとのこと

 
p89:『愛国商売』 古谷経衡 
愛国商売 (小学館文庫)

愛国商売 (小学館文庫)

 

 ←古谷氏は当初ノンフィクションを構想していたとのことで、著者が注目している。

3 性も健康も国家が管理する 
p143:人種は三つに分かれる。一つは文化を創造できる人種。次に文化を模倣する人種。そして、文化を破壊する人種。文化創造人種、文化支持人種、文化破壊人種、この三つに分かれる。日本人は二番目の文化支持人種だというわけ・・・
p122:『アカガミ』 窪美澄 
アカガミ (河出文庫)

アカガミ (河出文庫)

  • 作者:窪美澄
  • 発売日: 2018/10/05
  • メディア: 文庫
 
4 知性の誤使用としての反知性主義
p160:角川文庫の上巻377-384pが、戦前の日本においては封印されていた部分。これがヒトラーの日本観なんだ。こんな相手と同盟を組んでも、うまくいくはずがない。
p166:「子どもを産まない女性は云々」なんて発言する政治家は明らかにヒトラーに相通じる発想があるってことですよ。・・・村田、窪の近未来小説で危うさ
p176:「出たい人より出したい人」は大政翼賛会の選挙スローガン、学生はボランティアで成績に反映は、「翼賛運動をやれって言っているのと同じ」
 
5 総統の逆問題
p194:真実は隠されている、マスコミは嘘しか言わない、真実は私しか知りませんと、こういう形でやればいい。そういう荒唐無稽な演説で人間を動かせるんだ。そんなふうにヒトラーは公言して、恐ろしいことに、実際に言ったとおりのことをやってのけました。…これを使って、例えばSNSうまく結びつけば、今なお政治的にいろんなことができるでしょう。
p224:自己犠牲の精神を徹底させることで、他者の生命を奪うことに対して無感覚にさせていく。この回路をヒトラーは見事に作り上げました。
6 いま生きるナチズム
p235:y生産性高/低↓、x不快/快適→、
第一象限は生産性が高くリラックスして働く 図で<エリート>、2<ワーカホリック>、3<バーンアウト>、4<マイペース>
 
7 歴史は繰り返すにしても
p297~8:(一貫しているのはアーリア人種の生存、生き残りという問題…生き残るためと言えば、何でも許されてしまう…ナチズムとは何かに関しても定義不能・・・特徴は反知性主義+知性自体を憎む)
p301~:知識が、今の日本を生きるわれわれがナチズム的現象に出会ってしまった時のワクチンになればいいと思います。
(防ぐ方策や気構え?)反知性主義ではなく、知性で対抗すること。具体的には客観性/実証姓のないものに対しては疑いの目を持っていい。…あとは、分かりやすさへの疑問。…常に疑問を持つこと
p311:なぜ人間は生まれて存在しているだけで意味があるのかと言えば、それは「意味があるのから意味がある」のです。…理屈では説明できない。なぜなら、それは人知を超えた事柄だからです。…そして、「そういうふうになっているんだ」と認識しておくことが非常に大事なんです。

 
 出版社のサイトで、編集担当者が「コロナ禍で(その前に検察庁法改正の動きもありましたね)、今後おそらく行政権が強化され、司法権立法権が相対的にないがしろにされそうな時代だからこそ、読んでおくべき一冊…本文(あとがきでなく)の最後の一ページ半だけ、まず読んでみてください。ここで示される佐藤さんの思想に共感できる方には、これは大切な本になるはず」と紹介していたが、まさに、今の時代に意味のある一冊だと感じた。

 

 なお本著は、2018年11/3・4に行われた新潮講座を再構成したものとのことで、講座にも興味を持った↓
 
 それにしても、著者の知識や姿勢には、驚嘆する。いまフォローしておきたい、論者の一人で、注目していきたい。これまでのブログで一応、著者名で検索↓
 
 
 
 
 
{2021/3/26-4/2読了、記入は4/3(土)}

『なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか』 松井 博 著

  沖電気うつ病休職を経験しながら、アップルに転職、カリフォルニアで起業し、フィリピンで英語留学校をもち、オンラインでも展開する著者の語る言葉には、働き方について説得力がある。本著は、2018年末から発信していたメルマガをまとめた内容とのこと。月額1000円と表示があり、またnoteには、1万8千人のフォロワーがいて、購読者数が一定あれば、それだけでも、十分、生活ができるということか。

なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか
 

発刊したKADOKAWAのサイト↓

www.kadokawa.co.jp

 覚えておきたいポイントを、以下、引用してメモ↓
Chapter1/なぜ日本企業は、人の時間を大切にしないのか?
p26:(集団による意思決定が抱える3つの問題)1アイデア出にくい、2危険な方向にシフトしやすい、3慎重な方向にシフトしやすい
 
Chapter2/転職をマジで検討しているあなたへ
p58~(幸せの価値観3つのタイプ)1権力動機、2達成動機、3親和動機、マクレランドの欲求理論
p66~幸福とは「現実-期待値」です:1色々な世界を知る、2ソーシャルメディアはほどほどに、3身の丈を知る、4失敗に慣れる、5自分を磨く
 
Chapter3/人生ハードモードの方が、むしろ生きてる証
p75:(適職につくには)好き、得意、人の役に立つ、の3つが重なることを仕事に+「そこそこ好きで、やっていてあまり苦痛でないことを仕事にして、人様の役に立てて喜んでもらえれば、それで楽しくハッピーに暮らせますp77」
 
Chapter4/「おっさん化」を遅らせる方法
p129:呪いの言葉に気をつけろ!-何歳になっても新しいことは学べるし、老若男女誰でも大抵のことはできるようになる。
p145:(疲れで心が壊れないため良書オススメ)『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』下園壮太著 朝日新書
+p148~「僕がうつから回復した時の話」で1)医者、2)休み寝る、3)普通に暮らす、4)ノルマを1つ、5)創作、6)明るいクラッシック、7)散歩、8)日常ルーティーン、9)少しずつ社会人生活、
p170:清潔な服装を心がける
p176:(できることは2つだけ)好奇心を保ち、「今」を生きることでなるべく若さを保つ+世間からの疎外感をただひたすら我慢すること
 
Chapter5/生きにくさを軽くするライフハック
p200~スマホから時間を取り戻すための10のヒント(スクリーンタイムを設定し一番上に表示する)
 
おわりに
p238:誰もが地球上全ての人に対してタダ同然で情報を発信できるようになった今、他の誰のマネでもない自分だけのオリジナリティこそが大きな価値を持つ時代になったのです。ですから、自分という人間が何者なのかしっかりと掘り下げ、自分のならではの要素にさらに磨きをかけ、エッジを効かせることが大切なのです。

 

 著者の本で紹介されている、関連URL↓

brighture.jp

 

 アマゾンの紹介ページに、「元アップルのマネジャーとして生き抜いた著者が、日々の試行錯誤によって編み出した仕事や生活をラクにするコツを伝授!「日本のムダ」に潰されない、自分らしい生き方が見つかります。人生ハードモードの方、必読!!」と売り込んでいるが、確かに、一度うつ病になって人生を切り開いていった著者が解説するノウハウについては、とても参考になるかも知れない。

 ただ、「自分のならではの要素にさらに磨きをかけ、エッジを効かせること」がどこまでできるのか・・・日々、チャレンジなのだろうけれど、むしろ、そこそこ好きで、あまり苦痛でないことで、役に立てて喜んでもらえる、と思えるレベルを維持していければと思う。
 
{2021/3/24-25読了、記入は4/3(土)}

『おもかげ』 浅田 次郎 著

  『鉄道員』など映像作品で見たことはあったが、著者の本は、このブログには記録がなく、読むのは今回が初めてかも知れない。年齢的には、定年前後というところで関心をもち、帯やHPの文言にも惹かれて手に取った。文庫版の解説は、このほど安定的な皇位継承を議論するための有識者会議のメンバーにも選ばれた中江有里氏。ここに書いているきょう、日本テレビ系「ウェークアップ」にも出演、ブックレビューコーナーもかつて担当していたが、なかなかな活躍ぶりだ。

おもかげ (講談社文庫)

おもかげ (講談社文庫)

  • 作者:浅田 次郎
  • 発売日: 2020/11/13
  • メディア: 文庫
 

  物語は、主人公の竹脇正一(たけわき・まさかず)氏が、65歳の定年送別会の帰りに倒れ、集中治療室で、関わった人たちとの思い出が走馬灯のように紡がれていく。

 解説p452にあるように、「地下鉄が過去と現在を繋ぐ重要な舞台」となっていて、銀座線と丸ノ内線赤坂見附駅など、よく利用してきただけに、読みながら思い浮かんだ。『地下鉄(メトロ)に乗って』が名著とのこと、今度読んでみたい。

 

 発刊した講談社のサイト↓ 

bookclub.kodansha.co.jp

 印象に残った言葉は以下で、引用してメモ。

p25:夫婦の時間は、このさきたっぷりあると思っていた。持て余すほどの時間が。

p109:ゴールインしたとたん、僕は立ちすくんでしまった。同僚や部下たちの祝福と喝采も、遠い耳に聞いていた。もう走らなくていいという事実が、僕にはどうしても理解できなかった。

 これといった趣味はない。さしあたってやりたいこともなかった。とりあえず贅沢な海外旅行でもしようかと、節子とは話し合っていたが、それも「夢」と言えるほど大げさなものではなかった。

p363:(僕の夢)大学を出てサラリーマンになって結婚をして家を建てて子供を育てたい

p434:「みんながついているよ。人生はまだこれからじゃあないか」

 「切なすぎる愛と奇跡の物語」というのがHPでの宣伝文句ではあるが、印象に残ったのは、あまりに普通の夢の実現することの大切さと、いつ何があるかわからず、これからずっとあると思っていた時間もあっという間になくなってしまうかも知れないということ・・・コロナ禍でとても海外に行ける状況ではないが、体が動くうちに、”贅沢な海外旅行”をしてみたいものだ。

 

 
 
{2021/3/21-24読了、記入は3/27(土)}

『チームの成果を最大化するオンライン会議BASICS100』 谷 益美 著

  増えてきたオンライン会議の基本について学ぼうと、男女共同参画センターで借りた一冊。タイトル通り、100のポイントが9つの章にわかれて詳述されている。

チームの成果を最大化する オンライン会議BASICS100

チームの成果を最大化する オンライン会議BASICS100

  • 作者:谷 益美
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: 単行本
 

 発刊した日本能率協会マネジメントセンターのサイト↓

pub.jmam.co.jp

 p202~に紹介される「リアルタイム議事録」は、効率的な進め方としてやりたいところ。ついついメモで全部書いてしまいがちになるが、p216で紹介している、

箇条書きで、重複意見は書かない

 と言うことができればいいのかも。特に、キーワードなどは、アンダーラインやハイライト表示でわかりやすくすることがポイントか。

 

扉で紹介されている著者の会社↓
 桜が満開になってきた土曜、いくつか簡易にメモをしていきたいところ。投稿日時で、日付は読み終えた日、時間については、記入時の時間としてメモしておきたい。 
 
{2021/3/20-21読了、記入は3/27(土)}

『そして、バトンは渡された』 瀬尾 まいこ 著

  『麦の唄』や『糸』など、中島みゆきさんの歌を思い起こしながら、とても優しい気持ちになれる一冊。さすが、2019年本屋大賞の受賞作。

そして、バトンは渡された (文春文庫)

そして、バトンは渡された (文春文庫)

 

  発刊した文藝春秋社のサイト↓に、上白石 萌音 (女優・歌手)さんの書評リンクあり

books.bunshun.jp

 文庫版の巻末に掲載されているこの書評が的を射ていて素晴しく、以下に一部引用↓

p422:『主人公の優子は、十七年の人生の中で、七回も家族の形態が変わっている。これだけ聞くと彼女の数奇な運命を想像してしまうが、この物語は「困った。全然不幸ではないのだ。」という言葉で幕を開ける』

p423:『本作の中で、とても好きな言葉がある。梨花さんが幼い優子に、ニコニコしていたらラッキーなことが訪れるよ、と教えたあとで、こう付け加えるのだ。「楽しいときは思いっきり、しんどいときもそれなりに笑っておかなきゃ」』

 自分も最初に残しておきたい言葉としてメモしたのが、このあとの部分で、

p68:できるだけ笑っていよう。誰にでもにこにこしよう。私はそう心に決めた・・(中略)・・笑っていないとだめなことが、いつかやってくる。

 という部分だった。優子さんの家族環境の変化を、自分は読みながら、4回転校した小学生の時代、中高の甘酸っぱい思い出などを重ねながらも読んだ。

  最後のお父さん・森宮壮介(そうすけ・とフルネームでルビが出てくるのは、p287とずっとあとだったのもなぜかメモしたくなった)さんが、餃子をはじめたくさん料理を作ったり、中島みゆきの歌を紹介したりと、楽しい。p249に、合唱祭で歌ったという『糸』が歌詞とともに紹介されているほか、p251に、新しい曲として、『麦の唄』をピアノで弾いてと優子さんに頼むのだが、朝ドラの主題歌になっていたのに、見ていないので知らないという・・・さらに『時代』を歌う、というのは、なんとも感慨深い。

 最初に村上春樹さんの本に接したときに、音楽がさまざま登場していたのと同じような印象も持った。今回登場した音楽で、どうもメロディが思い浮かばないので、どこかで聴きたいとメモしておくのが以下。

合唱祭課題曲 p182:『ひとつの朝』、p187:『虹』、p188:『大地讃頌

p356:アンドレイ・ギャニオン の『めぐり逢い』 早瀬君が泉ヶ原さんに弾いた曲

p383:『羊は安らかに草を食み』 早瀬君が梨花さんの病院ロビーで演奏 

 『麦の唄』は、p411で、早瀬君が森宮さんに送ったCDの中の一曲として再登場して、優子さんは初めて耳にする。どんな歌かと聞かれ、森宮さんは、「大事な故郷から旅立って、新たな人生を歩んでいく」みたいな歌だったかな」と答え、優子さんが「牧歌的な感じがする」と感想を述べるのだが、この曲は、『マッサン』で流れ、映像も馬が走るシーンがあったり、いろいろ思い出があって懐かしい。

www.nhk.or.jp

 最後に、一番心に留めておきたいのは、森宮さんの次の言葉でこれを引用する。

p407:「何度も言うけど、俺、本当にラッキーだったよ。優子ちゃんがやってきて、自分じゃない誰かのために毎日を費やすのって、こんなに意味をもたらしてくれるものなんだって知った」

 

 とても素敵な本に出逢えて、幸せを感じることができました。

 

{2021/3/13-20読了、記入は3/21(日)}

『罪の声』 塩田 武士 著

  モデルとなったGM=グリコ・森永事件が、フィクションとはいえ、著者が最後に書いているのように「極力史実通り」に再現されていることを実感。記者の生態についても、記者出身ならではの描き方で、構想力にも脱帽。なにしろ面白かった。

罪の声 (講談社文庫)

罪の声 (講談社文庫)

 

  発刊した講談社のサイト↓には、映画へのリンクなどあり。

bookclub.kodansha.co.jp

 なんとなく目標を見失っていた文化部の記者が、取材を進めるうちに考えを深めていくところ、また、声の主にも優しいと感じさせるところなど、記者の仕事への愛情を感じさせられた。本著からほぼラストにある、鬼デスク鳥居の言葉を引用p523↓

俺らの仕事は素因数分解みたいなもんや。何ぼしんどうても、正面にある不幸や悲しみから目を逸らさんと『なぜ』という想いで割り続けなあかん。素数になるまで割り続けるのは並大抵のことやないけど、諦めたらあかん。その素数こそ事件の本質であり、人間が求める真実や」

 日本アカデミー賞の優秀賞にはノミネートされ、最優秀の発表は来週19(金)の予定↓

www.japan-academy-prize.jp

ヤフー映画でも、評価は、4.04 点 / 3,406件で、比較的高い印象あり、是非観てみたいものだ。

movies.yahoo.co.jp

 著者の作品は、すでにドラマでいくつか見ていたが、今後読み進めたい。

 

{2021/3/4-12読了、記入は3/13(土)}

 

『約束の海』 山崎 豊子 著

  ドラマや映画では観てきたが、本で登場するのは初めての著者の作品で、未完の遺作となった本著。綿密な取材で、シノプシスが掲載されている第二部「ハワイ編」で、主人公の花巻朔太郎がたどる父の足跡は、ぜひ読みたかった。

約束の海(新潮文庫)

約束の海(新潮文庫)

 

 発刊した新潮社のサイト↓

www.shinchosha.co.jp

 著者は執筆にあたってp347~、で、戦争という悲劇を二度と起こしてはいけないと言う気持ちのもと、真珠湾攻撃で特殊潜航艇にのって捕虜となり、生き延びて波乱の人生を歩んだ人物を描くことを構想し、昔話にしないため、「小説を書く限り、現代性、国際性をもったものでなくでなくては」と悩み続けたという。そして、専門家が現代の日本周辺海域をめぐる状況について語っている際に、海上自衛隊の潜水艦を調べて、「戦争をしないための軍隊」を追究してみたくなって書いたという。

 なだしお事件をモチーフにしているが、著者の思いなのか、いくつか引用↓

p169:「自衛隊を叩けば、正義の味方かインテリとでもおもっているのでしょうか」

p187:「マスコミって一体、何だろうと混乱しつつも、本当のことを知りたいと言う思いが、胸の底からふつふつと湧いてきた」 

 また、シノプシスで第二部の終わり、親子旅行で父が語る言葉が、心に響いた。

p369:「そうだ、この日本の海を、二度と戦場にしてはならないのだ。それが俺とお前だけの約束にならぬように、信念を貫き通せ」

 

 本著を読んだのも、関係者から、戦後75執念祈念出版 復刻版合本 改訂版
真珠湾攻撃 捕虜第一号『酒巻和男の手記』(発行・編集 青木 弘亘 / 監修・校訂 田辺健二) をいただき、読み進めて、本著とのことに気づいたからで、捕虜第一号となった酒巻和男氏が、なかなかな体験をしていたことを知った。 合本には、↓と、アマゾンや楽天にはないが、『俘虜生活四ヶ年の回顧』があり、読み応えあった。

捕虜第一号 (1949年)

捕虜第一号 (1949年)

 

 

{2021/3/1-3読了、記入は3/7(日)}